○広島県景観形成基本方針
平成三年八月一日告示第九百二十三号
ふるさと広島の景観の保全と創造に関する条例(平成三年広島県条例第四号)第七条の規定により、広島県景観形成基本方針を次のように定める。
広島県景観形成基本方針
親しみや安らぎを感じさせる地域の景観は、私たちの生活を映す鏡である。しかしながら、優れた景観は、短時日のうちに形成されるものではなく、私たち一人一人の地道な取組と社会生活のルールを守ることによって、保全され、創造されるものである。
今日ほど、真の豊かさが求められている時代はない。真の豊かさとは、心の豊かさから生まれるものであり、心の豊かさは、地域社会の優れた景観によってはぐくまれると言えよう。
私たちのふるさと広島は、長い歴史の中で緑と水と土の恵みにより、多様で豊かな景観を形づくってきた。中でも、世界に誇る多島美の瀬戸内海や峡谷美に彩られた中国山地は、私たちの心の原風景と言える。
こうした優れた景観は、個性あるまちづくりの核となり、ふるさとに対する誇りと愛着を生み、地域の魅力と活力を増すもととなる。同時に美しく、潤いのある景観は、私たちの生活に安らぎを与えてくれる。
一 景観形成の基本構想
豊かで均衡のとれたふるさと広島を創生するため、優れた景観を県民共有の財産として、私たち県民の総意により英知を結集し、次代に適切に引き継ぐ責務がある。
したがって、景観形成を推進するに当たっては、将来を見通した地域の景観形成施策を策定した上で行う必要があり、その基本構想は、次のとおりとする。
1 基本目標
県土の均衡のとれた景観の形成を推進するに当たっては、生態系を含む自然や環境に配慮するとともに、歴史や生活文化との調和、都市の魅力の創出及び農山漁村の保全と新たな活力の創出などに努めることにより、地域資源の持続的利用を通して「開発と保全との調和」を基本的視点に据え、次の点を基本目標とするものとする。
(一) 景観の保全と創造についての基本目標
景観の保全と創造は、次の点を基本目標として推進するものとする。
(1) 守るべき景観を適切に保全し、修復すること。
(2) 景観をより向上させるため、育てていくこと。
(3) 広島らしい優れた景観を新たに創造していくこと。
(4) 景観が単なる美しさにとどまらず、調和、統一及び親近感を持ったものとなるようにすること。
(二) 景観の保全と創造のための施策についての基本目標
景観の保全と創造のための施策は、次の点を基本目標として推進するものとする。
(1) 地域の個性や特性に対して配慮すること。
(2) 地域の計画や土地利用との調整に配慮すること。
(3) 地域の活性化に配慮すること。
(4) 景観についての公平性、客観性の確保に配慮すること。
2 景観形成のための基本方策
景観の保全と創造のための基本目標を達成するため、次のような基本方策を実行していくものとする。
(一) 県全体にわたって優れた景観が形成されるよう、基本的かつ総合的な施策を進めること。
(二) 市町村に対し、地域の実情に即した景観施策の推進に努めるよう働きかけるとともに、市町村の景観施策に対し、できる限りの助力を行うよう努めること。
(三) 行政と県民及び事業者が、互いにその先導的役割と主体的役割を十分理解し、協調的に景観の形成を図るよう努めること。
二 景観指定地域の指定と景観形成施策に関する基本的事項
現に優れた景観を有する地域や、将来、広島の代表的な景観となり得る地域等を景観指定地域として指定し、次の点を基本的事項として、景観指定地域に関する景観施策を重点的に展開するものとする。
1 景観指定地域の指定に関する基本的事項
景観指定地域が本県の景観を代表するものであることを踏まえ、その指定に当たっては、次のような事項を考慮するものとする。
(一) 景観モデル地域の指定に関する基本的事項
景観モデル地域の指定に当たっては、次の点を考慮するものとする。
(1) 現に優れた景観を有する地域及びその周辺地域を優先的に指定すること。
(2) 県内外に対する知名度の高いものについて指定すること。
(3) 他の地域の模範となり得るものについて指定すること。
(4) 指定に当たっては、景観保全上の緊急性を勘案して指定すること。
(二) 景観形成地域の指定に関する基本的事項
景観形成地域の指定に当たっては、次の点を考慮するものとする。
(1) 将来、広島県を代表する景観となることが期待される地域及びその周辺地域について指定すること。
(2) 県内外に対する知名度が高くなり得るものについて指定すること。
(3) 指定に当たっては、景観の誘導の必要性を勘案して指定すること。
2 景観指定地域に係る景観形成施策に関する基本的事項
景観指定地域については、次のような施策を実施するものとする。
(一) 地域の特性を十分考慮した景観指定地域基本計画及び景観形成基準を策定すること。
(二) 届出に対する指導は、景観指定地域の個性を生かした景観形成が可能となるよう具体的なものとすることに努めること。
(三) 景観形成住民協定又は特定事業景観形成協定が、積極的に締結されるよう努めること。
(四) 市町村の景観条例制定の促進など当該地域で景観行政を推進するためのきめ細かな施策を推進すること。
(五) 景観の保全と創造に関する公共事業等導入の促進を積極的に図ること。
三 大規模行為届出対象地域の指定とその景観形成に関する基本的事項
大規模行為が景観に与える影響は大きいものがあるため、次の点を基本的事項として、地域の特性に合った具体的な大規模行為景観形成施策を展開するものとする。
1 大規模行為届出対象地域の指定に関する基本的事項
大規模行為届出対象地域の指定に当たっては、市町村ごとの緊急性を勘案して、市町村長の意見を聴取した上で指定することとし、次の事項を考慮して行うものとする。
(一) 大規模行為が数多く想定される市町村について、指定すること。
(二) 当該地域における市町村の主体的な景観施策の展開を図るため、景観条例の制定が考えられる市町村について指定すること。
(三) 次のような地域の存する市町村について指定すること。
(1) 都市施設の集積が著しい地域
(2) 瀬戸内海沿岸及び島しょ部地域
(3) 瀬戸内中央リゾート構想関係地域
(4) 県重点プロジェクト推進地域
(5) 自然公園地域
(6) 自然環境保全地域及び緑地環境保全地域
(7) 自然海浜保全地区
(8) 風致地区
2 大規模行為の景観形成に関する基本的事項
大規模行為については、県内全域において景観形成が図り得るよう、次のような施策を実施するものとする。
(一) 地域の特性に合った大規模行為景観形成基準を定めること。
(二) 届出に対する指導は、大規模行為による景観形成が可能となるよう具体的なものとすることに努めること。
(三) 市町村の景観条例制定の促進など当該地域で景観行政を推進するための施策を推進すること。
(四) 大規模行為の景観形成を適正に行うため、地域住民に対する具体的な説明のための景観検証や景観アセスメントの手法を確立すること。
四 その他景観形成施策の遂行上必要と認められる事項
前記のほか、景観形成施策の遂行上必要と認められる事項は、次のとおりとする。
1 市町村の景観行政の推進のため、市町村の条例及び基本計画の策定のためのガイドプランを作成すること。
2 大規模行為景観形成基準に基づくガイドプランを作成すること。
3 景観施策の永続性の確保並びに市町村及び景観形成に関する民間協力者に対する助成のため、広島県みどりと景観の基金及びその運用事業を拡充強化すること。
4 景観保全又は景観づくり事業を行う市町村及び景観形成に取り組む地域又は団体に対して、技術的、財政的支援を行うこと。
5 景観形成に関する協議会又は地域団体を育成するとともに、景観形成住民協定の締結を促進すること。
6 景観の経済的効果に関する資料など景観に関する情報の収集、整理又は提供を行うほか、景観先進地の調査、研修等を行うこと。
7 景観形成の重要性及び必要性について、次のような点に留意して十分な普及啓発を行うこと。
(一) 景観に関する講演、研修会の開催を通じて、普及啓発の場を設けること。
(二) 各種広報媒体利用による積極的広報により普及啓発を行うこと。
(三) 県民及び事業者の景観意識の高揚を図るため、顕彰制度を活用すること。
8 公共事業等の景観に与える影響が少なくないことを認識した上で、次のような点に留意して公共事業等を行うこと。
(一) 景観形成の先導的役割を担う公共事業等の執行においては、地域の特性や歴史等を十分理解し、周辺との景観の調和を図ること。
(二) 景観検証、景観アセスメント、景観の向上に寄与する形態、意匠、素材又は色彩等の手法についての調査及び研究を行うとともに、公共事業等のデザインなどの向上を図ること。
(三) 公共事業等に、景観関連事業の積極的導入を図ること。
9 地域の特性を生かしたきめ細かい景観形成を行うために、市町村に対して、次の点に配慮して独自の景観形成施策を実施するよう働きかけること。
(一) 地域の実状に合った景観形成手法の確立と規制の在り方を探求すること。
(二) 景観形成における主体的役割を認識し、住民等の合意に基づき、景観形成施策を積極的に実施すること。
(三) 景観形成施策をまちづくりの一環としてとらえ、地域の特性に十分配慮すること。
10 景観形成の中心的存在である県民及び事業者に対して、次の点に配慮して景観形成を図るよう働きかけること。
(一) 県民の配慮事項
(1) 美しいまちづくりや快適な環境づくりのための自発的で地道な実践活動及び行政等に対する提言を行うこと。
(2) 景観形成住民協定や特定事業景観形成協定などを積極的に活用すること。
(3) 景観形成のための住民団体等の組織づくりに努めること。
(4) 日常生活の中で優れた景観の存在感を県民一人一人が持つとともに、地域に応じた景観形成のための知恵と工夫を発揮すること。
(二) 事業者の配慮事項
地域社会の一員としての自覚を持ち、事業活動を行うに当たっては、歴史及び地域の特性に配慮するとともに、周囲の景観との調和に努めること。